今や希少な土蔵再生・3題の紹介です。
江戸後期からの伊那谷の民家は、主屋に対し、
西面に土蔵・北面に長屋を配するのが一般的です。
土蔵は
文庫蔵・穀蔵・味噌蔵と西面に一棟配置され、
北面には
桑蔵・蚕蔵が配置されました。
なまこ壁を改修した I 邸

元々3尺間に柱が立っていますが、耐震性を考慮し
3寸柱をブレース状に入れています。

小屋裏は丸太の棟梁が通り、タルキが架構された
土蔵の通常的な
タルキ構造です。軒桁・柱共に良質な桧材に入れ替えています。

2階への階段も新規造作で、壁面はインスタント漆喰でなく
ラスボードからの漆喰仕上げです。

完成後の内部ですが、絵画も飾られています。
土蔵は通常、旧家の
漆器類の保菅庫として、使い継がれるケースが多いですね。
漆喰壁は通気性も良く、
漆器類の保存とセットで考えられていました。

漆喰仕上げの分厚い建具を開けると、ケヤキ造りの豪華な
中戸が現れます。
貴重な
落とし錠も昔のまま、立派に施錠!驚きです!!
K邸は文庫蔵・穀蔵・味噌蔵と
間口8.5間の一棟の例ですが
土台・床組・柱共、腐朽が進んでしまいました。

どうやら基礎石の隙間から130余年の間に、
外部水が浸入した
ようです。

土台を入れ替え、柱を新規に
根継ぎしています。

床組みの下はコンクリートを打設、
湿気対策です。

改修後の穀蔵の床・壁はこんな感じ。文庫蔵も同です。
また100年以上、
絶対に持たせたいという想いが募ります。

外壁はコスト・隣地からの汚れを考慮
し鉄板サイディングに改修
G邸は比較的コンパクトな蔵、
文庫と穀蔵が一体化した感じ。

内部は現代の
収納優先、各種棚板をセット。

2階小屋裏は
漆喰補修、床板を張り替え完了。

こちらの蔵戸は、ストックしていた建具を再使用
大切に使って頂ければ、また
100年美しい木目と共に
使い継がれるでしょう。
屋根が置き屋根、外壁が部厚い土塗り壁の土蔵は、春夏秋冬を通じ
内部の気温は安定し、通気性も良好です。
まさに高温多湿の
日本の風土が生んだ、シェルターかと漆器類の保存に適してるのは、前記の通り。
こんな土蔵が次第にやっかい者扱いされ、撤去されるのは
非常に悲しいことです。
こんな工法で再生出来ますので、お気軽に御連絡を下さい。