「信州産材の建物・6題」

今回は「信州産材の建物」近作を紹介します。

一作目は飯田市隣町の高原部に計画された
純木造2階建・2世帯住居です。

計画地は大変広大であり赤ナシ果樹園が長期に渡り
手つかずのまま残されていました。
南アルプスを目前に控え、大変ロケーションの良い建設地です。
標高の高い敷地を吹き抜ける爽風を、デザインソース
として取り入れています。
居間空間は登梁の上昇空間で、松梁アラワシの子供部屋と障子戸を介し
一体化
しています。
2階平瓦葺屋根は1/100のムクリ屋根です。
まさに今や希少な地場工法・信州森組の技の見せ所なのだ!
現在広大な敷地を造成中であり、木工職の皆さんの技工を見て戴くべし
見学会を予定しています。
S矩計

こちらは信州最南端の村部に建築される「県警駐在所」
です。
数年前に洋風建築を擬した「交番」を設計した経緯が
ありますが、どこか似てる
かな?

限られた予算・仕様・後々のメンテ考慮により、外壁は
窯業系サイディング、居宅部は壁・天井ともクロス仕上げ、
事務室の天井のみが化粧梁梁アラワシ、杉板張りの
森林を感じる仕上げです。


交番飯田立面
数年前竣工した「飯田駅前交番」
プロポーザル入選作であり、随分自由に取り組ませて戴きました。
来飯されたK大・建築史の教授から、何やらコメントを戴いたみたいですが。

根羽駐在所ブログパース
ローコスト・工業化された建材仕様の「駐在所」です。
軒の出も深くアフターメンテは掛りませんが・・・



こちらは竜東地区(南信州では天竜川を介し、東地区
をこう呼んでいる)の住宅建築予定地です。
やはり純木造2階建ての専用住宅です。
I敷地t

フランク・ロイド・ライトは高温多湿に適合した日本建築から
多くを学び、独自の建築スタイルを生み出
しました。

屋根形状は片流れ⇒切妻⇒寄棟 と耐候性が向上していきますが
コスト・オンリーの片流れがやたら多い近況から(自然エナジー摂取が主用途なら問題なし)
こんな寄棟形状も良きかなと。
こちらも年内竣工です。
見学会を予定、是非おこし下さいませ。

ライトパース




こちらは地域の児童館・紙漉き工房を主体とした
振興施設の建設現場です。
やはり信州産材で組み上げる、こちらは木造平屋の
交流施設
です。
かなり限定された予算の中でどこまで奮闘出来るか思案中、

久堅敷地



こちらは小さな公衆トイレ・・・30数年前、アトリエ開設時のトップバッターの
公共施設が、予算300万なりの公衆トイレでした。
今回はそのトイレの改築であり予算は3倍強ありましたが、やはり
厳しい・・・
当時の挑戦する姿勢、ハングリーマインドが今だからこそ必要なんだと
痛切する毎日。

天白外観
下屋のシルバー屋根が日光を反射し、軒天を明るく照らし出している
天白トイレ内部





こちらは東京材住デザイナーさんの実家の耐震改修を兼ねた
リノベーションです。
今や希少なコウヤマキ(黒ヒノキ)をリッチに使用した改修工事です。
工務店さんの希少なストック材であり
これもまた地場工法の良き嬉しい点です。
なにやら数寄屋っぽく変貌した我が家の前で、ニンマリ立たずむ
Fさんでした。

F玄関
改修後、玄関回りです。

こんなに豊富に地域産材が溢れる南信州は、一次産業が基盤産業に
なり得る地域であり・・・いやかっては大いに繁栄したんです・・・地域力
向上を目指し皆さんで奮闘努力せなばなりません。

国内産材の自給率もやや向上しつつあり、林野庁の最新情報では
33%位との事、

今や全世界的に木造建築がメディアに取り上げられる世情・・・
一過性に終わらせない、流行的なものでなく、日本元来の基盤産業
として振興するよう
、微力ながら頑張って参ります。